ふるさと納税をしたら確定申告が必要?

森井じゅん

2017.10.02.(月)

何かと話題の「ふるさと納税」。返礼品を制限する議論などもなされていますが、その人気はますます拡大しています。

そんな「ふるさと納税」につきものなのが確定申告。ふるさと納税をしたら確定申告をしなければならないのか?日米で公認会計士の資格を持つ森井じゅんさんに詳しくお聞きしました。

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改めて「ふるさと納税」の仕組みとは?

ふるさと納税とは地方自治体への寄附金の制度です。地方自治体への寄附金は税金を減らすことができる「寄附金控除」の対象になります。具体的には、寄附した金額の2,000円を超える部分が、所得税や住民税から控除されます。通常居住地に納める税金の一部を、自身のふるさとやその他の自治体に振り分けることができるとも考えられます。つまり、自分で地域を選んで寄附を行うことで自身の税負担を減らすことができる仕組みなのです。

ふるさと納税が話題になっている理由は、応援したい自治体が選べることや税金の控除が受けられるからだけではありません。自治体によっては寄附するお金の使い道を、福祉や環境、観光などから指定できたり、寄附した自治体からお肉やお米といった特産品等を受け取ることができたりもするのです。(『ふるさと納税の豊かな使い方』で実際の特産品を紹介してますので、どのような商品が届くのか興味のある方はぜひご覧ください。)

「ふるさと納税」で注意することは?

地方自治体への寄附金はあくまでも寄附金ですので、いくらでも寄附することができ、それに対する返礼品は受け取ることができます。しかしながら、所得税・住民税から全額を控除できる金額には上限があるため注意が必要です。

寄附金のうち2,000円を超える全額が控除になる年間の上限額は、所得額や家族構成により異なります。例えば、寄附を行う本人が給与所得のみで年収400万円、家族構成は独身の場合、42,000円程度が上限となります。(平成29年9月現在)

この方が、1月1日から12月31日までの一年間に40,000円を地方自治体に寄附し、確定申告を行ったとします。その場合、所得税の還付と住民税の控除として約38,000円税金が安くなります。その一方、寄附金の3割程度のお礼の品を受け取ることができます。つまり、40,000円寄附して38,000円の節税効果、すなわち、自己負担2,000円で12,000円程度の返礼品を受け取ることができると考えられます。ふるさと納税を行ったことによる影響はプラス10,000円です。

一方、この方が10万円の寄附を行った場合にはどうでしょうか。10万円寄附をして5万円弱の節税効果、すなわち自己負担5万円で約3万円の返礼品を手にすると考えられます。ふるさと納税を行ったことによる影響はマイナス2万円になります。もちろん、地域を応援するという意味では間違ってはいませんが、お得だけを考えてふるさと納税をおこなった場合には期待外れとなってしまう事があります。

他に収入があったり、住宅ローン控除や医療費控除、その他の控除を受ける場合にも上限金額は変わってきます。

総務省のホームページやふるさと納税のポータルサイトでも寄附金控除額のシミュレーションができますので参考にしてください。ちなみにふるさとチョイスなどのサイトでは、詳細な家族構成、住宅ローン控除や医療費控除等の控除も加味した試算ができます。

「ふるさと納税」をしたら必ず確定申告が必要な人は?

以前はふるさと納税による税金の控除を受ける場合には確定申告が必要でした。しかし、平成27年にワンストップ特例制度が導入され、一定の要件を満たす人は確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄附金控除を受けられるようになりました。

ワンストップ特例制度が利用できず、寄附金控除をうけるためには必ず確定申告が必要となるのは次のようなケースです。

ふるさと納税とは別件で確定申告を行うケース

主に、給与以外の所得がある人は基本的に確定申告が必要となります。個人事業主で事業所得があったり、不動産所得を得たりしている方などです。また、給与所得のみであっても、2,000万円を超える場合や、副業により一定以上の所得がある場合には確定申告が必要になります。また複数の事業者から給与を受け取っている場合にも確定申告を行うでしょう。

さらに、医療費控除を受ける方など、還付のために確定申告を行う人もいます。こういったケースではワンストップ特例を利用できず確定申告に寄附金控除を記載することになります。

寄附した自治体の数が6カ所以上のケース

ワンストップ特例は確定申告をせずとも、寄附を受けた自治体が居住地の自治体に連絡することで寄附金控除の計算をしてくれるものです。

ただし、ワンストップ特例制度を利用することができるのは、1年間で5自治体までと決められています。つまり、6自治体以上にふるさと納税を申し込んだ場合は確定申告が必要になるのです。

現在の運用として、多くの自治体では、5カ所以上の寄附を受けた自治体からワンストップ申告書を受け取った場合には、納税者に「確定申告をしてください」という通知が送付されているようです。その場合には、寄附金控除をうけるため確定申告をするしかありません。

寄附した自治体へワンストップ特例制度の申請が遅れたケース

ワンストップ特例制度の申請は、ワンストップ特例制度の申請用紙(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)に必要事項を記入し、マイナンバーおよび本人を確認できる書類の写しを同封し、寄附した自治体へ送付する必要があります。

この申請期限が翌年1月10日までです。この期限までに不備なく自治体に書類が到着している必要があります。もし間に合わなかった場合、寄附金控除を受けるのであれば確定申告を行う必要があります。

条件さえ合えば確定申告をしなくて良いということですね?

はい。上記のように、平成27年4月から確定申告をしなくても住民税の控除を受けられるワンストップ特例制度が導入されました。この制度を利用することで、確定申告をしなくても寄附金控除を受けることができるようになりました。

ワンストップ特例制度が利用できるのは1事業者からの給与所得のみで年収2,000万円以下の方のうち、ふるさと納税を行った自治体の数が5箇所以内、各自治体へ寄附金税額控除に係る申告特例申請書を記載して期限内に郵送した人で、さらに別件でも確定申告をする必要がない場合です。

会社員の方や公務員の方で年末調整だけで税金計算が終わってしまう方を想像していただくと分かりやすいかと思います。

通常年末調整で税金計算は終わってしまう方でも、医療費控除による還付を受けるケースなど例外的に確定申告が必要になるケースがあります。そういった場合には、ワンストップ特例制度は利用できません。確定申告は年末調整を上書きするようなものですので、提出された確定申告に寄附金控除の記載がなければふるさと納税はなかったことになってしまいます。

確定申告の期限直前に申告必要になった場合など、ワンストップの申請が既に済んでいたとしても、改めて確定申告書に寄附金控除の記載をし、寄附金受領証明書を添付する必要があることに注意してください。

「ふるさと納税ワンストップ特例制度」のやり方は?

ワンストップ特例制度を利用するためには、まず、ワンストップ特例制度の申請用紙(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)に必要事項を記入する必要があります。そして、マイナンバーおよび本人を確認できる書類の写しを同封し、期限内に寄附した自治体へ送付します。

寄附金税額控除に係る申告特例申請書に関しては、ふるさと納税をするときに、一緒に申し込めるようになっています。申告特例申請書を申し込むと自治体から書類が届くので、それに記入して送り返せば申込みが完了します。申請用紙がない場合にはポータルサイトからダウンロードすることもできます。

ちなみに、寄附した自治体ごとに申し込む必要がありますので注意が必要です。

税金の還付・控除はいつ行われるのでしょうか?

上記のように、ふるさと納税による寄附金控除は、確定申告を行う場合とワンストップ特例を利用し確定申告を行わない場合があります。この手続きの違いで税金の還付・控除のタイミングが変わってきます。

確定申告を行った場合には、一部が寄附をした年の所得税の還付として3月から4月ごろに口座に振り込まれます。一方、住民税は還付されません。残りの控除は翌年の住民税が安くなるという形で還元されます。具体的には翌7月から翌々6月までの各月の住民税の納付額が少なくなります。給与所得の方では給料から天引きされる住民税が少なくなり、他に変更がなければその分手取りが増えるでしょう。

還付と控除の割合ですが、所得等により変わってきます。上の例で取り上げた、年収400万円ふるさと納税4万円のケースでは、3月から4月に2,000円弱が所得税還付として口座に振り込まれ、翌年の住民税から36,000円が控除されます。

ワンストップ特例を利用した場合には所得税の還付はありません。全額が翌年の住民税からの控除になります。

住民税がどれくらい少なくなったのか、については、住民税決定通知書で確認することができます。住民税決定通知書は、毎年5-6月頃に自治体から配布されます。会社勤めであれば会社から受け取ります。そこに税額控除額の記載がありますので確認してみてください。

森井じゅん

公認会計士/米国ワシントン州公認会計士/税理士/FP 高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行っている。
http://www.horipro.co.jp/moriijun/

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