入院したときに使える医療制度を知っておこう

村田くみ

2017.07.31.(月)

病気やケガ、介護が必要になったときに備えて、老後は3,000万円、いや1億円ぐらい持っていないと不安だと思う人も多いでしょう。そんなに持っていなくても、使える制度を知っていれば“もしも”のことが起こっても、介護が必要になっても安心です。

収入が少なくなるからこそ知っておきたい

公的年金の範囲内で老後を送るためには無駄な出費はなるべく抑えなければなりません。そのためには、入院したときやその後、介護に必要になったときに何が必要なのか。元気なうちから知っておき、準備をしておきましょう。準備といっても難しいことは何もありません。大事なのは面倒くさがらずに地元の情報収集をする労力をいとわないこと。医療や介護保険の制度は制度が変わるので、「制度がコロコロ変わるからよくわからない」などと言わないで、ニュースに敏感になることです。おトクな制度を知っていると支出は雲泥の差がつきます。ほとんどの方の場合、病気で入院した後、体力が低下して自宅での生活が困難になったとき、認知症の症状が出始めてから介護が始まります。

医療費を抑えるためのポイント

まずは急に病院にかかるときに備えておくことは何か、知っておきましょう。入院時に必要なものはあらかじめポーチや巾着袋などに入れてまとめておくと「忘れ物」を防ぐことができます。〈通院時に必要なもの〉診察券、保険証、お薬手帳、かかりつけの病院の予約票や血糖値、血圧を記録する手帳があれば、それらも一緒に保管しておくこと。新たに医療機関にかかるときは、下記の点に注意しましょう。

紹介状なしで大病院に行くと窓口で5,000円かかる

地域のクリニックなどから「紹介状」をもらわないで大病院にかかると窓口での負担は5000円(歯科は3000円)請求されます。対象となる病院は高度な医療を提供する「特定機能病院やベッド数が500床以上」の病院です。

一時的な支払いが厳しいときは「高額療養費制度」をフル活用

1日から月末までの医療費が高額になった場合、一定額を超えた部分は「高額療養費制度」で払い戻せます。実際にお金を受け取ることができるのは2〜3カ月後なので、一時的に立て替えることが困難な人。継続して治療を受ける人は申請しておいたほうがいいでしょう。ただし、健康保険適用外の差額ベッド代や入院時の食費は含まれません。世帯単位で合算されるため家族全員分の領収証をとっておきましょう。さらに直近の12カ月間に、3回以上、高額療養費の支給を受けている場合は、4カ月目からはその負担上限がさらに下がります(70歳以上の「一般」「低所得者」は適用外)

仮に30万円(3割)を医療機関の窓口で支払い、のちに高額療養費制度を申請する場合、次のような手続きをすることになります。

①医療機関の窓口で3割負担の医療費をいったん支払います。
②1カ月の自己負担分が限度額を超えたら高額療養費の支給申請をします。
③自己負担限度額を超えた分の医療費が払い戻されます。後日、21万2570円の払い戻しを受けます。

申請窓口は保険証に記載されている保険者に聞いてみましょう。国民健康保険の加入者は、市区町村の国民健康保険担当窓口で確認しましょう。また、申請には領収証、保険証、印鑑、振込口座がわかるものが必要になります。

負担が高額なときこそ「限度額適用認定証」を活用しよう

70歳未満で、医療費が高額になることが事前にわかっている人は、「限度額適用認定証」が役に立ちます。市町村の国民健康保険課、あるいは組合健保などに申請して、交付された認定証を病院の窓口で提示します。

申請の手順は、

①自分が加入している保険者に限度額適用認定証を申請し、交付してもらいます。
②保険者から限度額適用認定証が交付されます。
③医療機関の窓口に限度額適用認定証を提示します。
④医療費の支払いは自己負担限度額までを支払います。

高額療養費の支給を受ける権利は診療を受けた月の翌月初日から2年です。2年以内であればさかのぼって申請し、払い戻しが受けられます。

お金が用意できない時は自治体に相談して!

一時的でも高額な医療費の負担が厳しい場合は、「高額資料費貸付制度」が利用できます。役所に申請すれば、高額療養費支給見込み額の8割相当が無利子で借りられます。お金がないからといって、消費者金融やキャッシングはNGです。まずは、病院内の相談室や自治体に相談してみましょう。

薬の購入費で税金が戻る

1年間、病院や薬局の窓口で支払った金額が一定額を超えると、所得税の一部戻ってくる「医療費控除制度」を活用しましょう。明細書は必ずひとつにまとめて保管しておきましょう。さらに、17年からは「セルフメディケーション税制」がスタート。厚生労働省が指定する成分を含む市販薬を一世帯で年間1万2000円を超えて購入すると、所得税の一部が戻ってきます。対象となる品目は解熱鎮痛剤、カゼ薬、胃腸薬、調整役、鼻炎薬、腰痛や捻挫の湿布薬、アレルギーの目薬、殺菌・消毒薬など。商品にはマークがつけられるそうです。(詳しくは『2017年からスタート!セルフメディケーション税制とは?』をご覧ください。)
確定申告の時には「医療費控除制度」と「セルフメディケーション制度」のどちらか選択することになるので、ドラッグストアのレシートは捨てないで、とっておきましょう。

 

村田くみ

ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー 1995年毎日新聞社入社。「サンデー毎日」所属。2011年よりフリーに。08年から母親の介護をしながら、ライター、ファイナンシャル・プランナー(AFP)として多くの週刊誌等で執筆。おもに経済、社会保障、マネー関連の記事を担当。16年1月一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)のアドバイザーに就任。著書に『介護破産』(KADOKAWA)、『書き込み式! 親の入院・介護・なくなった時に備えておく情報ノート』(翔泳社)、『おひとりさま介護』(河出書房新社)など。

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